フランス料理と日本酒は、今、海外で人気のある組み合わせです。
フランス人は、とくに辛口の日本酒がお気に入りです。なぜなら、料理を選ばない、すっきりした辛口は、コースで出されるフランス料理にとても合います。米の香りが強い、大吟醸などは、フレンチのメイン料理には欠かせない、牛肉や豚肉、鶏はもちろん、ウズラやハトを使った料理に合います。肉と米って合いますよね、またこの肉料理に使っている濃厚なフレンチ独特のソースとも米が合います。
米をふんだんに作って醸造された大吟醸が、このフレンチには合うのです。オバマ前大統領が広島を来訪したときに、振舞われたのが、山口県の地酒「獺祭 だっさい」です。オバマさんも大のお気に入りになったとか。
「獺祭」は、山田錦を精米歩合23%になるまで磨いた、大吟醸酒です。
大吟醸とは、米には、タンパク質部分と、炭水化物部分があるのですが、タンパク質部分は、酒を苦くて、そして炭水化物部分は、酒を甘くします。苦くなるタンパク質部分をなくして、磨いて、炭水化物だけを残すことにより、酒の味が甘くまろやかになるのです。
それだけ、磨くと、米は小さいくなり、同じお酒を造るのに、米の量がたくさん必要となってきます。なので、大吟醸は少しお値段がはることになるのです。でも、その醸造工程を考えれば、値段のことはあると思います。
この丁寧な醸造が、海外にもたくさんのファンをふやすことになったのです。
今回は、ポピュラーなフレンチと日本酒のマリアージュを5つご紹介しましょう。
まず、コース料理の始まりは、アミューズから
フレッシュ イチジクと生ハムのアントレ・フロワード
ブルーチーズとカボスの香り
材料:いちじく、生ハム、ブルーチーズ、カボス
材料さえそろえば、とても簡単なレシピです。季節によっては、いちじくをメロン、柿などにしても美味しくいただけます。
アミューズと言うのは、作り置きしたものや、手早く作れるものがいいのです。
このアミューズって、日本料理からヒント得て作られたと言われています。
「突き出し」と言えば、わかりやすいでしょうか。日本料理のコースにも、先付の前に突き出しがだされることがありますし、居酒屋でもありますよね。
フレンチのシェフは、このアミューズが腕の見せ所と力を入れています。
前菜の前に提供されますから、食前酒、シャンパン系が合いますね。
このアミューズにぴったりの日本酒があります。
さきほど、ご紹介した、「獺祭」にスパークリングがあるんです。
“「獺祭」発砲にごり酒45 シャンパン瓶”
山田錦を50%に精米した純米吟醸の発泡性。
米粒がそこに残っているような濁り酒を発砲させています。
炭酸が効いている分、甘味は抑えられています。フレッシュなイチジクの甘味と、ブルーチーズの香り、生ハムの塩味が、このさっぱりした米の甘味と見事に調和します。
コースは、前菜へと続きます。
白身魚のカルパッチョ ホワイトヴァルサミコの香草ジュレ添え
鯛や、ヒラメ、など白身魚のお刺身があれば簡単にできます。このレシピでは、ヴァルサミコ酢を使っていますが、ポン酢をゼラチンで固めても、美味しく代用できます。もうゼラチンで固めたポン酢がスーパーなどでじゅれポンズとして販売されていますよね。
あとは、ベビーリーフや、プチトマト、セロリなどお好きなサラダ野菜を添えてみてはいかがでしょうか。
白身の刺身といえば、辛口の日本酒が合います。
是非、おすすめしたい本醸造酒があります。
“大関株式会社 上撰 辛丹波(からたんば)”
この日本酒は、値段もお手頃で、肴を選ばないのです。後味もすっきりした辛口です。
とにかく、2011年から2017年までモンドセレクション金賞ですから。味は間違いなし。白身魚の淡白な味をきゅっと引き締めます。
また、ヴァルサミコ酢のちょっと癖のある甘さにも、うまく調和してくれます。
ズッキーニのガレット
ズッキーニはフランス南部で好んで食べられる野菜です。
ガレットは日本で言うと「お好み焼き」のようなもの。手軽に作れ、気取らずに食べられる料理です。薄く切ったズッキーニを薄力粉、卵で溶いた生地に入れて焼いただけのシンプルメニューで生地の中にチーズをすりおろして入れるのがポイントです。
【ズッキーニのガレットと合う日本酒】
“酔鯨 特別純米酒”
蔵元が「究極の食中酒を目指して醸した特別純米酒」と言うだけあって、家庭料理に合うように作られています。「お好み焼き」という日本料理の中では、庶民的な料理ですから、酒が濃厚だったり、癖があっては、合いません。この酔鯨は、どんな料理が出てきても、そっと寄り添うような辛口なのです。
また、もう1本、ちょっとマニアックな日本酒をご紹介します。
広島呉が本店の千福が発売した、“TEPPAN”という日本酒です。
これも、発泡酒タイプですが、先ほどの獺祭スパークリングがシャンパンなら、こちらは、ハイボール、酎ハイといった庶民的な味わいです。お好み焼きに近い、素朴なガレットの風味を引き立てます。
“TEPPAN”は広島土産なのですが、東京銀座の広島土産アンテナショップ、Tauでも販売されています。かなりの人気のため、これからどんどん販路を広げていくとのことです。
”日本酒 千福 TEPPAN”
おつぎは、メインとして・・・
鶏肉のコルドン・ブルー風
コルドン・ブルーは鶏肉にチーズとハムを挟んだ料理の事です。
コルドン・ブルーとはそもそも1579年、アンリ3世が作った騎士団の勲章の事を指します。その後、騎士団の食事を提供してくれたコックのことをコルドン・ブルーと呼ぶようになった経緯があります。
勲章と同じ名前を付けたくなるほど、美味しい食事を作ってくれたのでしょうね。
【鶏肉のコルドン・ブルー風に合うお酒】
味わいが濃厚で、コクがある日本酒が合います。
“一ノ蔵 大和伝 特別純米酒”
鶏肉、チーズというこってりした組み合わせに、この濃厚で、まろやかな口当たりと、爽やかな酸味をもつ豊明が合います。若い蔵人と杜氏がタッグを組んで、醸造しています。また、使っているお米は、白目米という幻の江戸ブランド米です。女性にも人気のある日本酒です。
鶏肉のマスタード風
鶏もも肉をマスタード味で焼いたものです。その際ニンニクをたっぷりと入れるとマスタードとの相性が良く美味しく仕上がります。ブロッコリーを添えると野菜も取れ、見た目も華やかに彩ります。
【鶏肉のマスタード風と合うお酒】
玉乃光酒造 “玉乃光 純米吟醸CLASSIC”
山廃仕込みという伝統製法にこだわった通常の倍をかけて醸造しています。
米のうまみをそのまま閉じ込めたお酒です。肉料理には合います。
冷で、きゅっと流すのもいいですが、熱燗にして飲むのも合います。
日本でいえば、焼き鳥に合うお酒といわれています。さっと焼いて、
マスタードの風味がきたいこの鶏肉のマスタード風に、この玉乃光の酸味がピッタリ合います。
おわりに
今回はフランス料理と合う日本酒5選をお届けしました。
米を贅沢に使った、自然な甘味、そして爽やかな酸味は、フレンチの濃厚なソースに合うことがわかっていただけたと思います。
ワインは、冷やして飲むだけですが、この日本酒は、熱燗にする方法もあります。
冷たいカルパッチョにも、焼き立てのチキンにも、この熱燗は合います。
どうぞ、この機会にご家庭でもお試しください。
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