日本でもその人気が広まりつつあるジビエ料理。
ジビエ料理とは、主に狩猟で食材として捕獲された野生の鳥獣を指します。
具体的にはイノシシ、シカ、ノウサギなどが挙げられます。
今回はそんなジビエ料理と合うお酒を紹介します。
ジビエ料理ってどんなもの?
フランスをはじめとした欧州では昔から親しまれて食べられてきた食材です。イノシシ・シカなどの大型な動物から、ウサギ・カモといった小型の動物まで幅広く食すことができます。また管理され、完全飼育された動物ではなく野生の動物を狩って食材にします。なので、筋肉質で締まった肉というのが特徴です。
ドライエイジング(乾燥熟成)
熟成の過程
乾燥熟成のプロセスとして、牛肉のブロック又は枝肉(半身)などを乾燥熟成庫内に一定期間貯蔵する。庫内の温度を0~4℃、湿度は80%前後に保ち、常に肉の廻りの空気が動く状態を作り、その中で14~35日間熟成させる。帯広畜産大学の島田謙一郎准教授の研究によれば、35日以上の熟成が望ましいという。
温度が高ければ肉は熟成ではなく腐ってしまい、低ければ凍ってしまい熟成にならないのでその温度と環境等のメインテナンスにも相当の手間が掛かる。熟成期間中に、肉の中にある酵素等の働きで肉の繊維(タンパク質)がゆっくりと壊れてペプチドやアミノ酸に変化し旨味が増すとともに肉が柔らかくなっていく。
乾燥させることで21日後には重量が20%程度減少し、減少した分そのフレーバー(味覚・香り)も濃厚なものに変わっていく。乾燥熟成が進んだ状態では、肉の外観は赤黒く変色し、薄く白カビなどが発生する場合もあるが、それが乾燥熟成で最高の状態とも言われる。乾燥による重量のロスの上に外側の乾燥した部分をトリミングしてステーキとするため、最終的に残るのはプロセス前の60%以下と言われる。従い、歩留りロス、保管冷蔵庫(熟成庫)などの設備費・電気代などの経費がかかり、また保管スペースが必要となる上、熟成期間のキャッシュフローも悪くなるため、大きなコストアップになる。
引用 ウィキペディア
エイジング効果も
厳しい野生世界で生き抜いてきたジビエ。
無駄な脂身が少なく、引き締まった赤味が特徴の食材です。
低カロリーなので、女性には嬉しいポイントですね。
またイノシシにはビタミンBや鉄分が多く含まれています。
貧血や冷え性といった症状を緩和してくれる効果が期待できます。
マガモのコンフィ
マガモの肉は赤身で弾力があり旨み成分が強いことが特徴です。
国産のマガモは餌に米を与えている場合が多く、繊細さが増します。
フランス産のマガモは、脂がよく乗っているので濃いソースとの相性が抜群です。
赤ワインを使ったソースや果物を使ったソースが多く使われています。
コンフィとは高温の油で肉を揚げた料理を指します。じっくりと焼き上げるので肉を柔らかくする効果があります。ジビエに適した調理法と言えますね。
【マガモのコンフィにあったお酒】
フランス人は特にこの鴨料理が好きで、鴨肉はフランスの南西部で定番の食材です。
この南西地方には、黒ワインといわれる重厚な色合いのワインがあります。
ちょっと癖のある鴨肉に合うワインで、「カオール」と呼ばれています。たっぷりのソースを添えて頂くコンフィは重めのこの赤ワインがよく合うでしょう。
色の割には、口当たりはさっぱりとして、ほのかな甘さを感じます。味の濃さに合わせワインも重くすることで全体的なバランスが取れます。またソースに使った赤ワインと産地やブドウの種類を同じにすると料理を引き立ててくれます。
シカ肉のポトフ
シカの肉はクセが少ない赤身肉が特徴です。その食べやすさからジビエの代表格といえます。主に二歳までのメスのシカが最も好まれて食べられているようです。調理法としては煮込み料理などに適しています。ポトフは肉、そしてたっぷりの野菜を鍋で長時間煮込んだ料理です。ポトフの楽しみ方は本来、肉よりもスープを味わうこと。と言われています。煮込み料理と相性が良いシカ肉とポトフの組み合わせはまさに格別です。ニンジン・タマネギ・セロリ・ローリエなど野菜を取ることもできますね。
【シカ肉のポトフに合うお酒】
サイクルズ グラディエーター
カリフォルニアワインなのですが、1本あたり、大体1,800円程度で販売されている、とてもリーズナブルな価格なのに、味わいは本格的なワインです。ブルーベリーの香りがする甘く、ちょっとリッチな味わいは、野菜をたっぷりと煮込んだポトフに合います。ポトフのような、優しい味わいには、白ワインでも、酸味が強い系より、苦みや青臭さもなく嫌味のないサイクルズ グラディエーターのようなスィートな白ワインがお似合いです。
シカのドリア
肉が硬く食べづらい部位はミンチ状にしてドリアにすると食べやすいでしょう。
ポワヴラードソース(胡椒を使用したソース)の効果で臭みもなくなり美味しくいただくことができます。
【シカのドリアに合うお酒】
鹿肉をこのように細かく刻んだ場合、ワインだと白でも赤でも合うのですが、こういう時は、パンチの効いた「バーボン」と合わせてみるのはいかがでしょうか。
飲み方は、ホットがいいと思います。グラスにバーボンをついで、その上からお湯を注いで、最後に、レモンかライムの輪切りを浮かべます。柑橘系のさわやかな香りと、バーボンの芳醇な香りがとても合います。
バーボンの銘柄は、「フォーローゼズ」「ワイルドターキー8年」などは、有名どころです。バーボン好きにはたまらない銘柄ですが、バーボン初心者の方にも飲みやすいと思います。口当たりが柔らかく、ソーダ割、水割り、お湯割りとどのように割っても飲みやすいのです。初心者もバーボン好きになるかも知れません。このバーボンを肉料理と合わせるとアクセントとなって楽しむことができます。
イノシシのロースト
日本でも馴染みが深いジビエはイノシシではないでしょうか?一般的に豚肉に似た食感だと言われています。
煮込み料理よりもシンプルな味付けで焼いて食べるのがベストです。
ニンニク・タイム・ローズマリー・ローリエなどのハーブ類と一緒にじっくりと時間をかけローストしていきます。
イノシシの肉にハーブの旨みが染み込み美味しくいただくことができます。
【イノシシのローストに合うお酒】
シンプルな肉料理に合うのはやはり赤ワインがおすすめです。
中でもフルーティーで爽やかさが際立つタイプとの相性がおすすめです。
フルーティーで爽やかな赤ワインといえば、
ルイ・テット ボジョレーヴィラージュヌーヴォー キュヴェ・サントネール
という樹齢100年の葡萄からできたワインです。そしてボージョレヌーボーです。
最初、このワインを知った時に、古木からできた葡萄って?どうなの?何か、酸っぱそうと思ったのですが。予想を裏切るフレッシュな味わいです。すきっとした辛口。断然ファンになりました。残念ながら、1年に1回しか飲めません。せっかく貴重なワインを、珍しいジビエ料理を肴に飲むなんてすごく特別感がありますよね。
野兎のロワイヤル
赤ワイン・ニンニク・ローズマリー・黒胡椒と一緒に煮込む料理です。ソースには赤ワインやフォアグラなどを使用した贅沢な一品です。
ノウサギは捕獲のしにくさ、収穫期間にバラつきがあることから入手が困難な食材です。ノウサギの肉は黒みを帯び、脂が少なく独特の臭みがあります。脂が少なく調理が難しい食材です。そのため、生クリームなどの濃いソースとの相性も抜群です。
フランスでは昔から愛されて食べられてきた料理として知られています。あのルイ14世が好んで食べていたといわれる歴史がある一品です。
フランスではノウサギを美味しく料理することが一流の料理人の証と言われています。それだけフランスと馴染みがある料理なのですね。
【野兎のロワイヤルと合うお酒】
バイ・オット・ロゼ/ ドメーヌ・オット
ノウサギ料理は臭みを消すために赤ワインで煮込む場合が多いです。それなら合わせるワインは、断然ロゼだと思いますね。フルーティーで、フレッシュな香りのロゼが、料理のコクの深さを引き立ててくれます。キングオブロゼと言われる作り手が醸造したフランスワインです。繊細であり、かつ上品な味わいと香りがあります。そんな上質なワインとじっくり煮込んだ料理を味わえるなんて、素敵ですよね。
お誕生日や、結婚記念日など、特別な日のメニューにピッタリではないでしょうか。
おわりに
今回はジビエ料理と合うお酒を紹介しました。日本でも徐々に食べられる場所が増えています。赤身でヘルシーなお肉が多く、低カロリー。まさにエイジングにピッタリな食材ですね。ソースを添えて調理したり、肉が柔らかくなるほど煮込んだりと食べ方は様々です。料理と合ったお酒のお気に入りを見つけてくださいね。
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